今後の若い世代の心配の種は年金問題などの「老後資金」です。
貯蓄額・年金など老後にまつわる数字を見ていきましょう。
若い時こそ貯蓄と負債のバランスを意識
皆さんは、10年後、20年後に自分がどれぐらいの貯蓄があったほうがいいのか、気になったことはありませんか?
ここではざっくりと年代別に貯蓄額を見ていきましょう。
○世代で広がる格差
出典:総務省「家計調査報告(貯蓄・負債)2019年(二人以上の世帯)
実際の値は上記の棒グラフにある「貯蓄」の通りで、これは一般的な定期性・通貨性貯金だけでなく、生命保険や有価証券などの金融商品も含まれます。
また「負債」とは、月賦払いや住宅ローンなどの総額を指し、その大半は「住宅・土地のための負債」が占めています。
全世帯平均では、貯蓄が約1750万円で、負債が約570万円、つまり約1180万円のプラスですが、年代別に見ると40~49歳までは負債のほうが多い状況となっており、貯蓄と負債のバランスは50歳代で大きく変化をしているのが分かります。
あくまでもデータをもとにした仮定ですが、老後に向けて実質的な貯蓄がプラスになるのは50歳代からとなっており、この時点から定年まで、いくら貯められるかは人それぞれですが、気をつけておきたいのは年金です。
年金制度は、その年金納付と受給世帯ごとの人口バランス、つまりもらう「お年寄り世代」と支える「若い世代」の人口バランスに大きな影響を受けます。
今後の日本社会は少子高齢化が進行するので、少ない若い世代で多くのお年寄りを支えなければなりません。
2015年は2.28人で1人のお年寄りを支えていたのが、2045年には1.42人で1人になり大きな負担となります。
それに伴い、一人あたりの年金受給額も減少することが予想されます。
2011年から緩やかに減少が始まり、現在は1万円ほど受給額が減少しています。約20万円という金額は「夫婦の基礎年金」と「夫の厚生年金」を合計した標準的な金額です。
将来、この金額がさらに減少することを前提とすれば、なるべく早い段階から貯蓄の準備をしておくことが重要といえます。
また、貯蓄は少額でも構わないので長期間かけて取り組むことを意識してみましょう。
老後の年金は頼りになるのか
1.年金受給額は年々減っている!
実際に支給されている国民年金の平均受給額は、下記の通りです。
〇国民年金受給者の平均月額
年度 |
平均受給額 |
2009年度 |
54,320円 |
2010年度 |
54,596円 |
2011年度 |
54,682円 |
2012年度 |
54,856円 |
2013年度 |
54,622円 |
2014年度 |
54,497円 |
2015年度 |
55,244円 |
2016年度 |
55,464円 |
2017年度 |
55,615円 |
2018年度 |
55,809円 |
出典:厚生労働省年金局「平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 ほか
年金保険料の納付が義務化により、年々少しずつありますが、受給額が増加しています。
同様に厚生年金保険(老齢年金)の平均受給額は、下記の通りです。
〇厚生年金保険(老齢年金)受給者の平均月額
年度 |
平均受給額 |
2009年度 |
156,692円 |
2010年度 |
153,344円 |
2011年度 |
152,396円 |
2012年度 |
151,374円 |
2013年度 |
148,409円 |
2014年度 |
147,513円 |
2015年度 |
147,872円 |
2016年度 |
147,927円 |
2017年度 |
147,051円 |
2018年度 |
145,865円 |
出典:平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(厚生労働省年金局) ほか
老齢年金の受給額は国民年金とは異なり、減少傾向にあります。
減少傾向の大きな要因は少子高齢化によるといえそうです。
2.日本の人口推移と高齢者1人を支える現役世代の人数が減少
○日本の人口推移と高齢者1人を支える現役世代の人数
年度 |
総人口 (千人) |
0-14歳 人口(千人) |
15-64歳 人口(千人) |
65歳以上 人口(千人) |
高齢者1人を支える現役世代の人数(人)(※) |
2015年 |
127,095 |
15,945 |
77,282 |
33,868 |
2.28 |
2020年 |
125,325 |
15,075 |
74,058 |
36,192 |
2.05 |
2025年 |
122,544 |
14,073 |
71,701 |
36,771 |
1.95 |
2030年 |
119,125 |
13,212 |
68,754 |
37,160 |
1.85 |
2035年 |
115,216 |
12,457 |
64,942 |
37,817 |
1.72 |
2040年 |
110,919 |
11,936 |
59,777 |
39,206 |
1.52 |
2045年 |
106,421 |
11,384 |
55,845 |
39,192 |
1.42 |
※(15-64歳人口)/(65歳以上人口)で算出
出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」(平成30(2018)年推計)
少子高齢化が進むにつれて、年金受給者は増えているのに保険料を納める現役世代は減っているため、今後の年金制度が維持できるのか不安があります。
2004年の年金制度改正では、そんな不安を払拭するために「年金100年安心プラン」が掲げられ、5年ごとに年金財政の検証をしていき、所得代替率50%以上は必ず確保すると決められました。
当初の所得代替率は、62.3%でしたが、2019年の財政検証では61.7%に下がっています。
また、将来の予測では2046年の所得代替率が51.9%と試算されていますので、年金が下がる可能性はかなり高いといえそうです。
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