年間約60万組が結婚して約21万組が離婚している
厚生労働省の令和元年人口動態統計(人口動態総覧)では、年間約60万組が結婚する一方、約21万組が離婚しています。
離婚が決まったら、婚姻期間に夫婦で得た共有財産をどのように分けるかを相談しましょう。
また、子どもがいる場合は、どちらが育てるか、養育費をどうするかも話し合います。
曖昧なままにせず、必ず取り決めを行うことです。
もし、経済的に困難だが子どもを養育することになったら、約束したお金はきちんと払ってもらい、公的助成も活用しましょう。
ひとり親家庭は男女共に平均的に収入が低いため、公的な支援が法律で定められ、各自治体が実施しています。
離婚には事前準備が必要
離婚を考えるなら、当面かかるお金を具体的に把握することが必要です。
1.離婚・別居時にかかるお金
項目 |
目安額 |
ポイント |
引っ越し |
10万円~50万円 |
別居のための引っ越し費用。 ただし、専業主婦やパートなど収入が少ないと社会的信用が低く部屋を借りられないこともある。 公営住宅などを検討。 |
家具・家電 |
10万円~30万円 |
新居で使う家具や家電。 相手と話し合い、これまで使っていたものの一部を持っていくこともできる。 |
子どもの転校 |
3万円~15万円 |
転校先の制服代・教材費など。 |
当面の生活費 |
45万円~90万円(月15万円の場合) |
3ヶ月から半年分。 実家に戻るなら家賃分5万円~10万円程度の出費を抑えられる。 |
弁護士費用 |
~150万円 |
調停離婚や判決離婚では弁護士が必要になる。 自治体や法テラスなど無料の相談場所を利用する方法もある。 |
離婚には、当事者同士の話し合いで離婚が成立する協議離婚のほか、家庭裁判所で手続きを行う調停離婚・審判離婚・裁判離婚があります。
協議離婚以外は弁護士に依頼するのが一般的です。
裁判になると、別途裁判費用が2万円程度かかります。
このほかにも就職活動が必要な場合は10万円くらいかかることもあります。
2.離婚時に分けるお金を把握する
(1)財産分与
婚姻期間に築いた財産は、共有財産とみなされ、原則2分の1に分割します。
金融資産に加えて家具や家電、車なども対象となります。
○財産分与
(2)年金分割
公的年金の分割対象は厚生年金のみです。
また、婚姻期間に払った保険料分を老後に年金としてもらう権利を分割できます。
事実婚も分与可能です。
合意分割と3号分割の2つの制度があり、分割できるのは離婚から2年以内です。
合意分割 |
3号分割 |
|
特徴 |
夫婦の合意により分割割合が決まる。 話し合いで決まらない場合は裁判を行う。 |
平成20年4月以降の婚姻期間に積み立てた厚生年金を相手の了承なしに分割可能。 それ以前は合意分割割合を決める。 |
利用できる人 |
婚姻期間に厚生年金に加入していた人。 |
専業主婦(夫)など厚生年金を払っていない人。 |
分割対象 |
婚姻期間に払った違いの厚生年金保険料。 |
平成20年4月以降の婚姻期間に相手が支払った厚生年金保険料。 |
相手の了承 |
必要 |
不要 |
分割の割合 |
上限2分の1 |
2分の1 |
(3)慰謝料
離婚の原因を作った方が支払います。
原因により50万円~数百万円の幅があります。
実際には、お金がなく支払われないケースもあります。
(4)養育費
子どもの年齢や夫婦の収入などにより相場があるが、最終的には話し合って決めます。
期間も18歳になるまでなど子どもが自立するまでで、2人で決めて親権者になったほうが受け取ります。
ひとり親家庭は各種支援を利用しよう!
1.子どもが高校卒業するまで支給や助成制度がある
(1)児童扶養手当
所得が一定額以下の場合に市区町村から支給されます。
市区町村により異なりますが、月額1万円~4万円程度が支給されます。
(2) ひとり親家庭等医療費助成制度
所得が一定額以下の場合に市区町村が助成します。
医療費の自己負担額の一部が助成されます。
(3)自治体独自の支援
児童育成手当てなど、自治体ごとにさまざまな支援があるので、自治体に相談をしましょう。
2.控除・減免・免除
(1)所得税・住民税
寡婦(寡夫)控除等で税金が安くなります。
(2)国民年金
年金が払えない場合は、保険料の支払いを免除または猶予してもらえます。
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