人生100年時代の準備は大丈夫か
2019年6月、人生100年時代を見据えた資産形成を促す報告が金融庁から発表されました。
この報告で、95歳まで生きるには夫婦で約2,000万円の金融資産の取り崩しが必要になり、現行の公的年金制度に頼った生活設計だけでは資金不足に陥る可能性があるとして、長期・分散型の資産運用の重要性が示されました。
その後、金融大臣から「一定の前提で単純な試算を示しただけであり、そうではない人も多くいる」との釈明がありましたが、現実的に、一定の蓄えがないことには自分が望むような生活が成り立っていかないということになるかもしれません。
実際に老後必要なお金はどれくらいなのでしょうか。
老後の収入を年金で賄うのは難しい
総務省が発表している家計調査によると夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯においては、公的年金による収入が1カ月当たり約19万円で、支出が1カ月当たり約23.5万円となっています。
つまり、公的年金等の収入で考えると、90歳までの25年間で約1,350万円の不足が発生することになります。
このような状況から、各自で貯蓄や資産の運用など年金以外の収入を確保する必要があるといえるのです。
【老後の生活に必要なお金】
<収入>
夫婦2人で毎月受け取る公的年金 : 平均19万円
<支出>
食費 |
64,444円 |
住居費 |
13,656円 |
水道光熱費 |
19,267円 |
家具・家事用品費 |
9,405円 |
衣料費 |
6,497円 |
保健医療費 |
15,512円 |
交通・通信費 |
27,576円 |
教養・娯楽費 |
25,077円 |
その他(雑費・交際費など) |
54,043円 |
合計 |
235,477円 |
出典:総務省「家計調査<用途分類>1世帯当たり年平均1か月間の収入と支出 (高齢者のいる世帯)世帯主の就業状態別」(2017年)<夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯>

年金をあてにせず各自で備えることが必要
総務省が公表した2019年10月1日現在の人口推計で、日本の総人口は前年に比べ48万7,000人の減少という結果が発表されました。
これは9年連続の減少で、中でも15歳~64歳の割合は59.5%と1950年以降で過去最低となり、65歳以上の人口は3,588万5千人で全体の28.4%で過去最高となっています。
日本の公的年金制度は、「賦課方式」と呼ばれる、現役世代が年金受給世代を支えるしくみになっています。
今後、ますます人口減少と高齢化が進むと予想されている中で、現役世代が減少し、年金受給者の比率が上がっている現在の日本の構造では、将来の保険料負担の増加や年金の削減が必至となります。
今までのように老後資金を公的年金だけに頼るということは難しくなり、老後の収支を自助努力で計画しなければならない状況となることが予想されるのです。
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