老後の住まいの備え|火災保険の加入で火災に備えるポイントとは?

損害保険

2016年12月に新潟県糸魚川市で大規模火災が発生しました。

150棟近くが焼け、消失面積は約4万平方メートルに及びました。

火元になった人からの被害にあった家の補償はどうなるのか。

そんな疑問が浮かびました。

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火元からは賠償を受けられない

個人の生活関係のルールを定めるのは民法です。

民法709条には「不法行為責任」が規定されています。

故意または過失により第三者に損害を与えたら、その損害を賠償しなくてはなりません。

例えば、自動車や自転車の運転で他人にけがをさせたり、モノを壊したりしたら、被害者に賠償金を支払わなくてはなりません。

しかし、火災には例外規定があります。

民法の特別法である通称「失火責任法」は、失火では火元に重大な過失(=重過失)がない限り、民法709条を適用しないと規定しています。

つまり、隣家が起こした火災で一方的に被害に遭い、損害を受けても、火元には原則、賠償請求ができないのです。

住宅や家財が失われれば、最悪の場合、数千万円レベルの損害を負うことになります。

この損害を貯蓄で対応することは困難ですが、火災保険の補償でまかなうことができます。

これが火災保険の必要な根拠になります。

気をつけていても、不注意から火災を起こしてしまう可能性はゼロではありません。

日本は木造住宅が多く、延焼の可能性も大きくなります。

火元の人も財産を失っており、責任をすべて負わせるのは酷であり、適切ではないとの考えがあります。

火元に重過失がある場合は賠償が求められます。

故意でなくても、あまりにも不注意ではないか、とされるレベルになれば、被害者への賠償が求められる可能性があります。

しかし、賠償能力を超える大火の場合はどうでしょうか。

現実問題として、延焼した人が、火元の人から賠償を受けるのは難しくなります。

老後においても火災保険への加入は非常に重要

住まいは生活の基盤です。

めったに起きないとはいえ、火災で住まいを失えば、収入が限られるリタイア後の生活は、深刻な影響を受けます。

住まいを元に戻すには、数千万円レベルの大きな資金が必要ですが、シニア世帯で、それを自力で調達できる人は少ないでしょう。

住宅などの個人財産は自分で守ることが基本とされます。

だからこそ、火災保険への加入は非常に重要なのです。

住宅ローンを完済した後も、火災保険は継続しましょう。

賃貸住まいでも火災保険の加入が必要

賃貸借契約を結ぶときに、何らかの火災保険契約をしたという人が多いのではないでしょうか。

ここで契約するのは、入居者の家財を補償する火災保険です。

失火責任法が適用されると近隣の火災で家財に損害を受けても賠償は受けられません。

つまり、賃貸住まいの人でも、家財の損害をカバーするための火災保険は必須です。

過不足のない適切な金額で、忘れずに加入しておきましょう。

入居者が火災を発生させてしまったとき、失火責任法により隣家への損害賠償義務は免れますが、賃貸物件に与えた損害についてはオーナーに賠償しなくてはなりません。

賃貸借契約上の原状回復義務には、失火責任法が適用されないからです。

賃貸借契約時の火災保険には、この場合への備えとして、オーナーへの損害賠償責任をカバーできる借家人賠償責任保険がセットされるのが一般的です。

あわせて、自転車による加害事故やマンションの階下に及ぼした水濡れ損害等、第三者に損害を与えた場合にも役立つ、個人賠償責任保険もセットされていることが多いです。

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自分が火元になったときの備えも必要

ちょっとした不注意(=過失)で発生させた火災には失火責任法が適用されるため、火元は原則、延焼先に対する責任を負いません。

ところが、過失のレベルが高すぎる重大な過失では、失火責任法が適用されず、火元は火災によって被害者に負わせた損害の責任を負わなくてはなりません。

このようなときは個人賠償責任保険が役に立ちます。

個人賠償責任保険は、個人の日常生活上で第三者を死傷させたり、モノを破損させ、法律上の責任を負う場合に、その損害を補償するものです。

重大な過失による火災のほか、自転車による加害事故やマンションの階下に及ぼした水濡れ損害等がカバーできます。

また、火元に重大な過失がない場合でも、被害を与えられた隣家が十分な火災保険に加入していない場合などに、その損害をカバーできる類焼損害補償特約もあります。

ただし、この特約では火災保険の補償が優先されるため、隣家が十分な火災保険に加入している場合には補償されません。

また、30万円以上の書画・骨董品・貴金属など補償の対象とならないものもあることなど、生じたすべての損害がカバーされるわけではない点について注意が必要です。

火災保険での備えは重要

火災保険は住宅など建物が対象のものと、家財などが対象のものがあります。

持ち家世帯はその両方に、賃貸世帯は家財を対象にした保険にのみ加入します。

万が一の際、新たな暮らしを立て直していくための保険ですから、建物はもちろん、家財についても、十分な保険金額を設定しておくことが重要です。

加入している火災保険の契約金額や補償内容が適切かどうか、改めて契約書類などを確認してみることをオススメします。

書画や骨董品、ジュエリーなど特定の家財も、火災保険で補償を受けることは可能です。

ただ、保険金を受け取れても、同じものを再取得するのは難しい財産です。

唯一無二の大切なものは、貸金庫などで確実に現物を保管するのも一つの手かもしれません。

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