老後の生活費をどのようにまかなうか|生涯を見通したマネープランとは?

お金の基本

親世代とは違うお金との向き合い方

厚生労働省の統計によると1950年(昭和25年)の日本人の平均寿命は、男性59.57歳、女性62.97歳でした。

これが2019年(令和元年)には男性81.41歳、女性87.45歳にまで寿命が延びました。

長生きする分、生きるのに必要なお金も増えます。

老後の生活費をまかなえるよう公的年金制度は整えられました。

しかし、少子高齢化により将来、給付水準が下がるのはほぼ確実です。

一方、現役時代の平均収入は、かつてほどには増えません。

すでに公的年金をもらっている65歳以上の世代と同じとはいかないのです。

長生きを幸せとするには、お金の稼ぎ方、使い方、貯め方を長期的な視点で考え、人生の後半に向けて資産を増やしていく発想が大事です。

現役時代の給与の増え方(昔と今)

○性別、勤続年数階級による賃金カーブ

[ 1976年、1995年、2019年 ] (一般労働者、所定内給与額)

性別・勤続年数階級による賃金カーブ

出典:労働政策研究・研修機構「早わかり グラフで見る長期労働統計」

勤続年数0年の男女平均の賃金を100としたときの増え方を表しています。

勤続年数が長くなるにつれて増えていきますが、増える金額の割合は、以前より小さくなっています。

女性は男性より給与水準が低く、長く勤めても男性ほどは増えません。

年金の給与水準が下がっていく

日本全体として給与が上がったり、物価が上がったりすると、それに合わせて公的年金額も上がります。

そのため、年金の給付水準は、年金額ではなく「所得代替率」(年金を受け取り始めた時点での現役世代の手取り平均収入に対する割合)で見ます。

○所得代替率の見通し

所得代替率の見通し

出典:厚生労働省「いっしょに検証!公的年金 イラスト・マンガで解説」

(マンガで読む公的年金 第9話 所得代替率の見通し)

 

40代未満の世代は親世代よりも老後資金が必要

老後の余命が伸びた分、生活費の総額が増えるので、親世代よりも多くの老後資金が必要になります。

○2015年に65歳の場合

老後期間年数(2015年)

○2050年に65歳の場合

老後期間年数(2050年)

※老後期間の年数は、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」資料表「男女別特定年齢の平均余命:1950年~2065年」より

【親世代よりも老後資金が必要になる】

・低成長時代にあって給与の増え方が低下

・少子化のために年金給付水準が低下

このような状況であるため、将来にわたるマネープランの重要性が高まっています。

老後資金を確保するには以下のような対策が必要になります。

残りの生涯賃金が1億円あれば大丈夫か?

残りの生涯賃金が1億円になるとしても、実際には、ここから社会保険料や税金を引いた後の手取りが自由に使えるお金です。

公的年金保険料が高すぎると現役時代のやりくりが苦しくなるため、公的年金保険料は固定されました。

ただ、高齢者の増加に伴い医療費が増えているため公的医療保険料は今後も上がりそうです。

収入が同じでも社会保険料の負担増により、手取りが減る可能性があります。

予測した生涯賃金を見て安心しすぎないことが大切になります。

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