個人事業主の経費の使い方|経費計上できる支出の活用で節税対策を!

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経費の使い道を判断し節税対策をする

個人事業主は、会社員と違いどんな経費をいくら使うかを自分で判断し、経費をもれなく計上し、自分で税務申告します。

事業のために使った費用であることを証明できるよう、領収書などは必ず保管しておきましょう。

事業に関する入出金は記録し、1年間(1月1日~12月31日)の収入、経費、所得などの収支を翌年の3月15日までに税務署で確定申告します。

個人事業主は自由度が高い分、リスク管理も自分でしっかり行わなければなりません。

加入できる社会保険も限られていて、会社員に比べて、いざというときの備えが手薄です。

これを補う制度も上手に活用したいものです。

経費として認められる項目

個人事業主が経費として計上できるのは、「事業活動に関連している支出」です。

経費に計上すると課税所得が減るため節税できますが、認められていないものを計上すれば脱税行為となるので注意が必要になります。

【経費にしてOK】 → 納税額が少なくなる

  • 事務所の家賃
  • 事務所の水道光熱費
  • 材料の仕入れ代金
  • インターネット料金や携帯電話、郵便などの通信費
  • 交通費
  • 事務用品
  • 名刺やチラシ等の広告宣伝費
  • 打ち合わせで使った飲食代等の会議費
  • 従業員に支払った給与 など

【経費にしたらNG】 → 個人的資質

  • 自分の生活費(給料扱いにして経費にすることはできない)
  • 自宅の家賃や水道光熱費(事務所を持たずに自分で仕事をしている場合は、面積や時間で自宅用と事業用の割合を出し、事業で使う分は経費可)
  • 事業に関係のない旅行、飲み会
  • 健康増進のためのスポーツクラブの会費や健康診断
  • スーツや靴(プライベートとの区別がつきにくいため。ただし、芸能人などで衣装として使う場合は可)など。

なお、個人事業税(事業所得が290万円以上の場合にかかる)、事業用の借入金の利子、仕事で使う車の自動車税、従業員への福利厚生費(忘年会費、慶弔金など)は経費にできます。

事業経費は何がかかるのか

カフェ店の運営を例に個人事業主の収支の構造についてイメージしてみます。

○カフェ店運営の場合

カフェ店運営

売上(総売上)から事業経費を引いた金額が利益であり、これが健康保険料や年金保険料が差し引かれる前の収入です。

事業経費の内訳は以下のように多岐にわたります。

  • ホールやキッチンに立つ従業員などの人件費
  • 食材仕入れなどの材料費
  • 店内のテーブルや椅子、またパソコンやレジの設備代
  • 出店場所のテナント代
  • 毎月の経費精算や給与計算などをサポートする税理士や社会保険労務士などに払う顧問料
  • 水道光熱費 など
カフェ店の運営における事業経費の主な内訳

人件費

人件費は事業経費の中でも特に比率の大きいコスト。

柔軟な人員調整が重要になる。

売上の30~40%

材料費

 

カフェの場合は主に食材となる。

サービスの質を左右するため高い割合となる傾向がある。

売上の30~40%

設備代

パソコンやレジのほか、業務用冷蔵庫などは飲食店運営において必需品ともいえる存在。

10万円~

(リース代等)

テナント代

物件を借りてお店を開いている場合は、テナント代が営業の有無にかかわらず必ず発生する。

売上の5~10%

顧問料

給与計算や納税の処理などにかかる費用はどこまで専門家に依頼するかによって大きく異なる。

1万円~

光熱費

光熱費もサービス提供のために欠かせないコスト。

大幅な節約が難しい維持費の1つ。

売上の5~8%

個人事業主として利益を出すためには、まずこれらの経費をカバーできる売り上げを立てなければなりません。

これは一種のリスクともいえます。

もちろんお店が繁盛すれば大きく利益を伸ばせます。

一方でこのようなリスクがあるため、個人事業主は収入が不安定になる状態と背中合わせであるといえます。

個人事業主をバックアップする制度

社会保険が手薄な分を補う制度があります。

ここで紹介している制度はすべて、掛け金を所得控除できるので節税対策にもなります。

なお、経営セーフティー共済や小規模企業共済に関して、共済金を借り入れると、せっかく積み立てたお金が減ってしまいます。

解約時または退職時・廃業時に受け取れる金額が減るので、なるべく借り入れは避けるようにしましょう。

○バックアップ制度一覧

個人事業主バックアップ制度

目的に合わせてうまく組み合わせて加入するようにしましょう。

1.経営セイフティー共済

【取引先の倒産の備えや退職金に利用】

毎月5,000~20万円の範囲で掛け金を選択して積み立てておけば、共済金を借り入れることができます。

40ヶ月以上加入すれば、解約時には全額返金されます。

2.小規模企業共済

【退職金代わりや老後の生活費に利用】

毎月1,000~7万円の範囲で掛け金を選んで積み立てておけば、退職時や廃業時に一時金や分割での受け取りが可能になります。

また、いざと言う時共済金を借り入れすることができます。

3.個人型確定拠出年金(iDeCo)

【退職金代わりにも年金にもなる】

加入者が毎月掛け金を積み立てて、定期預金・保険・投資信託といった金融商品で自ら運用します。

60歳以降に年金又は一時金で受け取れますが、60歳になるまでは引き出すことはできません。

4.国民年金基金または付加年金

【公的年金に上乗せして老後の生活費にする】

「国民年金基金」は1口以上を自分で組み合わせて加入します。

加入パターンにより保険料や受取額が異なり、老後に年金としてもらえます。

「付加年金」は国民年金にプラス月額400円を上乗せすることで、将来受給する年金額を増やせますが、「国民年金基金」と併用はできません。

「国民年金基金」「付加年金」のどちらも個人型確定拠出年金との併用は可能です。

個人事業主は給料を受け取れるのか

個人で事業を行っている場合、給料という名目でお金を受け取ることができません。

収入から必要経費を引いたものが事業所得となり、事業所得の金額はいわば給与のようなものです。

会社にした場合は、給与の額を自分で決めて受け取ることができ、給与は経費扱いになります。

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