公的医療保険制度とは?|制度を知って入院に備える保険の負担を抑える

生命保険

健康であることを願いつつ、努力していても、万一の病気やケガのリスクは避けられません。

日本には社会保障制度があり、そこから大きな保障を受けることができます。

高額な医療費の負担をどうするのか。

さまざまな「民間」の医療保険の広告が目につきますが、まず知っておきたいのは「公的」な医療保険制度の中身です。

大事なのが自分で申請をしないと保障を受けれない制度もあるということです。

まずは公的医療保険制度を知っておくことが大切です。

公的医療保険制度とは

日本では誰もが何らかの公的な医療保険に加入する「国民皆保険制度」があります。

公的医療保険は、会社員などが加入する「健康保険」と、自営業者などが加入する「国民健康保険」で保障内容が異なります。

健康保険と国民健康保険の保障内容と違い
  健康保険 国民健康保険
治療費の自己負担 原則で現役世代は3割、70歳以上は2割
ただし、義務教育就学前は2割
高額療養費 1ヵ月の医療費の自己負担額が「80,100円+(医療費総額-26万7,000円)×1%」を超えたとき、超過分が請求に基づいて払い戻されます
出産育児一時金 42万円(諸条件あり)
傷病手当金 あり なし
出産手当金 あり なし
死亡時 埋葬費一部補助あり 葬祭費一部補助あり

この違いによって、不足する保障が異なることになります。

民間の生命保険や医療保険商品を選ぶ際には、この違いを考慮して選ぶ必要があります。

なお、船員保険と共済保険は、健康保険に近い保障内容になっています。

公的医療保険の加入対象者
保険者 対象者
健康保険 会社員など
船員保険 船員
共済組合 公務員、教職員
国民健康保険 自営業者、専業主婦など(上記以外)

健康保険証を使えば、原則で現役世代は3割、70歳以上は2割の自己負担で診療を受けられます。

さらに、保険診療には、私たちが負担する医療費にひと月あたりの上限が設けられる「高額療養費制度」があります。

入院して手術を受けても、最終的に負担する医療費は一定程度に収まります。

実際の負担がどれくらいになるのか、具体的に知ることが本当の安心につながります。

高額療養費制度とは

高額療養費制度は、70歳を境に二つのしくみがあります。

1.70歳未満の高額療養費の自己負担限度額

70歳未満の場合、所得に応じて5段階の負担上限が設けられています。

高額療養費の自己負担限度額
所得区分 自己負担限度額
①区分ア
(標準報酬月額83万円以上の方)
252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
②区分イ
(標準報酬月額53万~79万円の方)
167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
③区分ウ
(標準報酬月額28万~50万円の方)
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
④区分エ
(標準報酬月額26万円以下の方)
57,600円
⑤区分オ(低所得者)
(被保険者が市区町村民税の非課税者等)
35,400円

たとえば、入院して月内の医療費の総額が50万円で年収500万円の人の場合、月あたりの医療費の上限は、80,100円+(総医療費-267,000円)× 1%という数式に当てはめます。

3割負担なら30万円ですが、実際の負担額は82,430円となります。

もし、すでに30万円を支払ってしまったなら、2年以内に加入する公的医療費保険に申請すれば、差額が戻ってきます。

2.70歳以上75歳未満の高額療養費の自己負担限度額

医療費負担はさらに軽減されます。所得に応じた負担上限は4段階で、たとえば、所得が現役世代並みより低い「一般」の区分の場合、月の負担上限は、通院だけなら1万2千円です。

70歳以上75歳未満の高額療養費の自己負担限度額
被保険者の所得区分 自己負担限度額
外来 (個人ごと) 外来・入院 (世帯)
①現役並み所得者
(標準報酬月額28万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の方)
44,400円 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
②一般所得者
(①および③以外の方)
12,000円 44,400円
③低所得者 Ⅱ(※1) 8,000円 24,600円
Ⅰ(※2) 15,000円

※1 被保険者が市区町村民税の非課税者等である場合
※2 被保険者とその扶養家族全ての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合

高額療養費制度を利用するなら「限度額適用認定証」が便利

高額療養費制度による医療費の払い戻しは、ほとんどの場合は申請作業が必要なため、自分が制度の対象であることも知らずにそのまま放置されている例も少なくありません。

医療費がかさみそうであれば、あらかじめ、加入する公的医療保険の窓口に申請して、「限度額適用認定証」を取得するとよいでしょう。

入院、通院を問わずに使えます。

「限度額適用認定証」を病院の窓口に提示すれば、請求される医療費が、高額療養費制度の自己負担限度額までとなります。

支払う医療費を減らすことができますし、あとから払い戻しを申請する手間もかかりません。

なお、限度額適用認定証が必要なのは、70歳未満の人だけです。

70歳以上の場合は、特に手続きは必要ありません。このように公的医療保険には負担を抑えるしくみがあるのです。

知らない人が意外に多いですが、自ら申請して払い戻しを受けるのが基本ですから、知らずにいると損をしてしまいます。

高額療養費の対象外になる医療費

高額療養費制度は健康保険の制度のひとつなので、特殊な歯科診療など、健康保険の適用対象外で自費となる診療は対象外になります。

その他にも以下のようなものも高額療養費の対象外になります。

  • 入院時の食事代・食費(食事療養費)
  • 居住費(光熱水費相当)
  • 日用品代
  • 差額ベッド代
  • 保険適用外の診療
  • 出産(※)
  • 先進医療などの自己負担部分

(※)妊娠・出産は病気ではないため健康保険の対象にならないため、高額療養費制度の対象外になります。

しかし、帝王切開は、健康保険の対象になる医療行為なので、高額療養費の対象になります。

高額療養費の対象外になる医療費は、病院から十分な説明を受けた患者本人が希望した場合にのみ、かかるものと覚えておくとよいでしょう。

保険の掛けすぎに注意する

このように自ら負担する医療費には上限があり、手元のお金で医療費に備えることは、ある程度可能なのです。

医療保険に入るのも一つの方法ですが、それはいわば入院に備える「お助けグッズ」ともいえます。日常的にかさむ通院費などのカバーが目的ではありません。

保障を手厚くすれば、保険料の支払いもかさみますから、かけ過ぎは禁物です。

入院に備えるために家計が圧迫されるのは本末転倒でしょう。

保険は本来、貯蓄で対応できない事態に対して、コストを負担して備えるものです。

医療費への備えは、公的制度を前提に、保険は補助的なものと考えるべきでしょう。

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