収入だけでなく家族の生活や満足度など総合的に考える
正社員での共働きは、収入の面では断然有利です。
大学卒の女性の場合、出産を機に仕事を辞めると生涯所得が2億円も減るという推計結果(ニッセイ基礎研究所「大学卒女性の働き方別生涯所得の推計」2016年)もあります。
ただし、共働きは支出も多くなりがちで、なかなか貯金できないケースもあるようです。
家事をこなし、家庭で過ごす時間を取りたい人もいるでしょう。
産休 ・育休制度が整ってきているとはいえ、働きながら子育てするのは楽ではありません。
働き方を変えたり仕事の時間を減らしたりして得られること、夫婦での協力体制も含め、総合的に判断しましょう。
夫婦の働き方はいずれも一長一短
夫と妻の働き方、収入によりメリット・デメリットが異なります。
デメリットを補う対策も知っておきましょう。
1.本人(正社員400万円)・配偶者(正社員300万円)の場合
【メリット】
- 世帯収入が多い
- 夫婦ともに勤務先の福利厚生を受けられ、老後は厚生年金をもらえるので公的年金収入も多い
- 勤務先によっては退職給付もある
【デメリット】
- 子育て期間をどう乗り切るかが課題
- 子どもが病気でも休みづらい
- 特に子どもが小さい間は保育料や急病時のヘルパー料などの出費もかさむ
【対策】
- 夫婦とも育児休業を取るなど2人で協力する
- 親の協力を仰ぐ
2.本人(正社員400万円)・配偶者(個人事業主300万円)の場合
【メリット】
- 配偶者の仕事には定年がないので、年をとっても働き続けられる可能性がある
- 配偶者は仕事の経費や青色申告により節税できる
【デメリット】
- 配偶者は自分で社会保険料を全額払う必要がある
- 配偶者の収入が不安定で退職給付がない
- 老後の配偶者の公的年金が少ない
【対策】
- 配偶者は小規模企業共済、個人型確定拠出年金に加入するなど現役時代から老後資金の準備をする
3.本人(正社員400万円)・配偶者(パート150万円)
【メリット】
- 配偶者が正社員の場合より収入は減るが、配偶者には時間的な余裕が得られる
- 配偶者の年収が201万円以下なら配偶者控除や配偶者特別控除が受けられ、自分の税金が安くなる
【デメリット】
- 老後の配偶者の公的年金は、正社員で働いた場合よりも少なくなる
【対策】
- 民間の生命保険で自分の死亡保障を確保する
- 子どもの成長に伴って配偶者は正社員へのキャリアアップを目指す
4.本人(正社員400万円)・配偶者(専業主婦(主夫)0円)
【メリット】
- 配偶者控除により自分の税金が安くなる
- 配偶者は自分で国民年金保険料を払わなくてよい
- 自分の勤務先によっては、家族手当がもらえる
【デメリット】
- 老後の配偶者の公的年金が少ない
- 自分が病気で働けなくなったり、万一の時に生活できなくなる不安がある
【対策】
- 民間の生命保険で自分の死亡保障を確保する
- 配偶者は趣味などを生かして収入を得ることも考えたい
5.本人(個人事業主400万円)・配偶者(個人事業主300万円)
【メリット】
- 定年がないので、年をとっても働き続けられる可能性がある
- 仕事の経費や青色申告により節税できる
【デメリット】
- 自分が万一のとき、子どもがいれば遺族基礎年金をもらえるが、遺族厚生年金はもらえない
- 老後は夫婦ともに公的年金が少ない
【対策】
- 民間の生命保険で夫婦ともに死亡保障を確保する
- 夫婦ともに小規模企業共済や個人型確定拠出年金で老後資金の準備をする
配偶者の働き方による税金と社会保障の壁
自分が会社員で配偶者がパートなどの給与所得者の場合、配偶者自身が払う税金は、年収が100万円を超えると住民税が、103万円を超えるとさらに所得税がかかります。
社会保険料は106万円(週20時間以上働き、雇用期間が1年以上見込まれる人などの要件を満たす人)または130万円(要件を満たさない人)以上でかかります。
一方で自分の所得税や住民税は、配偶者の年収が201万円以下なら、配偶者控除や配偶者特別控除により安くなります。
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