人生100年時代に備えた資金手当てとして、年金をもらい始める時期を遅らせて受取額を増やす「繰り下げ」の注目が高まっています。繰り下げ受給は本来65歳から貰える年金の受け取りを先送りにする代わりに、貰える年金が増額するという魅力的な制度です。
長寿リスクに備えるために、「年金を42%も増やす」ほど最適な方法はないような気がしませんか。しかし、実際に選んでいる人は全体の1.3%しかいません。
長生きリスクに対応することは年金の繰り上げが得か、繰り下げが得かを検討する以上に重要なこととして認識する必要があります。
公的年金は2階建て
公的年金には、20歳以上の全国民が加入する国民年金と会社員や公務員が加入する厚生年金の2種類があります。厚生年金に加入している場合は、国民年金と合わせて2つの年金に加入していることになるので、日本の公的年金制度は「2階建ての構造」といわれています。
日本の公的年金制度は、自分の払った保険料が貯蓄され、将来そのお金を受け取るという制度ではなく、いま働いている世代(現役世代)が支払った保険料を仕送りのように高齢者などの年金給付に充てるという「世代と世代の支え合い」という考え方(これを賦課方式といいます)を基本とした財政方式で運営されています(保険料収入以外にも、年金積立金や税金が年金給付に充てられています)。
公的年金の種類とは?
1.国民年金(老齢基礎年金)
国民年金は日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者が加入を義務付けられ、加入する年金制度です。保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上である場合、65歳になったときに支給されます。
なお、国民年金は、第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者の3種類があります。
種類 | 加入対象者 |
第1号被保険者 | 農業等に従事する、学生、フリーター、無職の人など。 |
第2号被保険者 | 厚生年金保険の適用を受けている事業所に勤務する者であれば、自動的に国民年金にも加入します。(ただし、65歳以上で老齢年金を受ける人を除きます。) |
第3号被保険者 | 第2号被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の人をいいます。ただし、年間収入が130万円以上で健康保険の扶養となれない人は第3号被保険者とはならず、第1号被保険者となります。 |
(参考元)日本年金機構
2.厚生年金(老齢厚生年金)
厚生年金保険に加入している人は、厚生年金保険の制度を通じて国民年金に加入する第2号被保険者に分類され、国民年金の給付である「基礎年金」に加えて、「厚生年金」を受けることとなります。
年金の支給は何歳から?
国民年金と厚生年金のいずれも原則的には満65歳から支給が開始されます。早く受け取りたい場合は受給予定額の30%減額となりますが満60歳から受け取ることができ、遅めに受け取りたい場合は受給予定額の42%増額した額を満70歳から受け取ることができます。
年金の繰り上げ及び繰り下げ受給状況
現在、年金を受給している人は、どのような判断をしたのか示す資料が、厚生労働省から年度ごとに公表されています。
年度 | 総数 | 繰り上げ | 受給率 | 本来 | 受給率 | 繰り下げ | 受給率 |
H25 | 29,750,882 | 5,138,995 | 17.3 | 24,260,326 | 81.5 | 351,561 | 1.2 |
H26 | 30,763,914 | 4,992,436 | 16.2 | 25,407,063 | 82.6 | 364,415 | 1.2 |
H27 | 31,573,520 | 4,836,980 | 15.3 | 26,355,540 | 83.5 | 381,000 | 1.2 |
H28 | 32,184,024 | 4,662,578 | 14.5 | 27,120,664 | 84.3 | 400,782 | 1.2 |
H29 | 33,160,232 | 4,498,287 | 13.6 | 28,236,857 | 85.2 | 425,088 | 1.3 |
(参照元)厚生労働省
全体では繰り上げの方が繰り下げよりも多くなっています。年金制度への不信や健康であるうちに自由にできるお金があった方が有意義だという考えで繰り上げを選択する人が多くいます。
今までは年金以外の貯蓄が多くあることでこのような選択ができましたが、年金受給者の総数が増えているにもかかわらず、繰り上げを選択している数が減少していることを勘案すれば、長生きリスクと少ない貯蓄が定年後も働かざるを得ない状況を生み、繰り上げ受給を選択する人が減っていくことに繋がっていることがこの推移で読み取れます。
年金は将来的に減ると覚悟すべき
最近の年金政策の動きを見ると将来的には支給開始年齢の引き上げや、年金給付の減額は避けて通れないと考えたほうがよいでしょう。年金でカバーできない分については、定年後も仕事を続けるか、現役時代に蓄積した資産を運用して副収入を得る必要があります。
現役世代の負担については、当面の保険料の引き上げは実施されませんが、さらなる負担増についても検討が行われる可能性は十分にあり、その場合には、保険料が再度、引き上げられることになります。
また、国が運用している年金の原資が枯渇するような事態になれば、さらなる給付の引き下げもあり得ます。公的年金は制度的に破綻することはありませんが、状況が厳しい状態は続いています。
よほど資金に余裕のある人でなければ、これからは生涯労働を前提に人生設計を行うのが標準的になりそうです。
公的年金だけは老後は不安
「公的年金だけでは老後に約2000万円不足」と指摘した金融庁の報告書が議論を巻き起こしました。多くの人にとって、これらの支給額だけでは老後の生活はまかなえそうにないと宣言されたに等しいものです。
また、将来的にはさらに年金受給額は減る傾向にあります。とはいっても、これらの公的年金は一生涯受給できる大切な収入源となります。生涯労働を前提に人生設計を行うにしても、いつまでも働くことはできません。
受給できる年金額を増やしながら、独自で老後の資金計画を立てるという2本立ての対策が必要になります。
将来お金の不安をなくすためにできることとは?
将来的にお金の不安をなくすには、貯蓄を増やすことも大切ですが、ただ、貯蓄を漫然と続けているだけでは、お金が貯まることはあっても増えることはありません。足し算だけではなかなか資産は増えません。
貯蓄を始めることはもちろん悪いことではないし、大切なことですが、お金持ちは積極的に投資を行っていることを肝に銘じておく必要があります。
超低金利の時代に、2%、3%の金融商品を探そうとすれば、投資信託や株式といった投資商品にならざるを得ないでしょう。投資をすることはお金を増やす上では避けては通れないものと認識する必要があります。
平均寿命が延びてくると、定年退職後の収入を年金と貯蓄に依存するだけは不安を抱えながら生活することになります。投資で資産を増やすことが必要になってきます。お金の不安を解消して、老後を安心して暮らしていくために投資などにぜひ挑戦してみてください。
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