投資しながら老後資金を準備して公的年金の不足分を補う
確定拠出年金は、現役時代に掛け金を積み立てて運用し、60歳以降に生活資金として受け取るもので、「企業型」と「個人型(iDeCo)」があります。
「企業型」は企業年金の一種として導入する会社が増えており、会社が導入したら従業員は原則加入となります。
一方、「個人型」は自分の意思で加入できます。
転職先の会社に「企業型」がなかったり、個人事業主になった場合は「個人型」に残高を移して、60歳まで運用可能です。
「個人型」は銀行、保険会社、証券会社などが窓口になります。
選んだ金融機関に専用口座を開きます。
利用できる金融商品の品揃えは運営管理機関によって異なりますが、通常、定期預金と、複数の投資信託が揃っています。
確定拠出年金とは何か?
1.確定拠出年金のしくみ
企業や加入者が毎月一定額の掛け金を出して、加入者が運用します。
そのため、運用の結果次第で将来受け取れる年金の額は異なります。
(1)積立期間
①掛金を出す
毎月または年単位などで、お金を積み立てます。
②運用する
加入者自身で運用商品を選び、掛金の配分を指定します。
掛け金の配分割合は1%単位で指定でき、合計が100%になるように配分します。
(2)受取開始期間
①受給する
運用したお金は60歳から70歳の間、いつでも受取を開始できます。
60歳以降も運用を続けられます。
なお、70歳までに裁定請求(年金給付の請求)を行わないと、70歳時に全額一時金で支給されてしまいますので注意が必要です。
2.税金を優遇されるのが最大のメリット
(1)拠出時
掛け金は全額所得控除となりますが、個人型は年末調整や確定申告の手続きが必要になります。
(2)運用時
運用で増えたお金は非課税扱いになります。
(3)受取時
- 年金として受け取る場合は公的年金等控除の対象となります。(他の年金と合算します)
- 一時金として受け取る場合は退職所得控除の対象となります。(会社の退職金と合算します)
「企業型」と「個人型」の違い
「企業型」は会社の退職金制度で、「個人型」は自分で自分の老後に備える制度です。
加入状況や立場により、掛け金の限度額が異なります。
たとえば、毎月2万円、30歳加入で60歳まで30年積み立てると、720万円になりますが、これが増えているかどうかは運用次第です。
企業型 |
個人型(iDeCo) |
|
利用できる人 |
会社員で勤務先が導入すれば原則加入する |
公的年金制度に加入する20歳以上60歳未満の人 |
投資できる限度額 |
月額55,000円 (企業により異なる) |
個人事業主:月額68,000円 会社員:勤務先の企業年金制度により月額12,000円~23,000円 公務員:月額12,000円 専業主婦(夫):月額23,000円 |
利用できる金融商品 |
預金、投資信託(運営管理機関によっては保険もあり) |
|
運営管理機関 |
勤務先が契約した金融機関 |
自分で選んだ金融機関 |
運営管理の手数料 |
勤務先が払うケースが一般的 |
自分で払う(※1) |
2020年9月現在
※「企業型」の規約で併用が認められている場合のみ「企業型」と「個人型」を併用できる。
※1:個人型は毎月の掛け金から差し引く形で手数料を自分で支払う。
ただし、掛け金の節税効果が手数料額を上回るケースがほとんどなので、結果的に手数料の負担感は無いに等しい。
効果的に運用するには?
確定拠出年金は自分で運用しなければなりません。
受取額をより増やすために、効果的な運用を心がけましょう。
1.自分のリスク許容度に合わせて商品を組み合わせる
確定拠出年金の運用商品は、1つだけ選ぶよりも特徴が異なる商品を組み合わせた方がリスクを減らすことができます。
どの商品をどれだけ買って組み合わせるかは、自分がどれぐらいの値動きに耐えられるかで考えるとよいでしょう。
2.状況に応じて途中で運用商品の変更を行う
毎月の掛け金で購入する商品を変更したり、これまでに口座に貯まった商品を別の商品に買い替えたりするという2つの運用指図ができます。
頻繁に運用指図をする必要はありませんが、たとえば、値上がりした投資信託を定期預金に買い換えれば、利益を確定できます。
3.加入者用サイトのサポート機能を利用する
効果的に自分で運用しようとすると片手間では行うことできません。
加入者用サイトでは、その人に合った商品の組み合わせを提示してくれる機能や現在の評価額(売却したらいくらになるか)など、サポート機能が充実でしています。
これらの機能を利用しながら運用するとよいでしょう。
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