給与明細の見方|給与や賞与のしくみや注意すべきポイントとは?

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給与明細を見れば給与額と手取りが分かる

給与明細でまず確認したいのが「勤怠」欄です。

出勤日数、残業時間など、給与計算のもとになる勤務状況が記載されています。

給与として支払われる金額は「支給」欄に記載されています。

基本給に各種の手当てを足した総支給額がその月の給与額です。

どんな手当があり、いくらになるのかは会社により異なります。

ただし、時間外労働、いわゆる残業手当は割増率も含め、法律で義務づけられています。

「控除」欄には、給与から天引きされる社会保険料や税金の額が記載されています。

総支給額から控除合計を差し引いた差引支給額が手取りの金額です。

会社によっては、組合費などもあらかじめ差し引かれます(天引き)。

給与はどこから出るのか

給与は会社から見れば、売上から支払う費用の「人件費」に含まれます。

人件費は粗利(売上総利益)をもとに考えます。

従業員の給料は社会保険料や税金が差し引かれた金額が会社から支払われます。

社会保険料とは雇用保険や厚生年金、健康保険などの保険料を指します。

税金は所得税や住民税を指しますが、住民税は給料から天引きではなく、自分で納付する(普通徴収)ケースもあります。

よく耳にする「手取り」とは、この社会保険料どっちや税金などが差し引かれた、実際に受け取ることができる金額のことです。

一方で「額面」とは、差し引かれる前の総収入を指します。

○給与のしくみ

給料のしくみ

1)売上

会社の主な営業活動によって得られた利益を表します。

2)売上原価

商品の材料費、製造する際にかかる費用などを表します。

3)粗利(売上総利益)

売上高から売り上げ原価を差し引いた金額で、おおまかな企業の収益を表します。

4)一般管理費

企業を維持していくための、事務所の賃貸料や水道光熱費、広告費などの費用を表します。

5)人件費

粗利の3分の1を見込み、給与以外に交通費や福利厚生費などが含まれます。

6)営業利益

粗利からさらに人件費や広告費、光熱費などの費用を差し引いた利益のことで、商品を仕入れてから販売するという本業で稼いだ利益を表します。

7)社会保険料

雇用保険や厚生年金、健康保険などの保険料を表します。

8)税金

所得税や住民税などの各種税金を表します。

9)手取り収入

上記の金額を差し引いて手元に残るお金を表します。

給与明細の見方を知っておく

給与は、支給(給与として支払われるお金の項目)、控除(社会保険料や税金などの天引きされるお金)、勤怠(出勤日数など等の給与計算のもとになる項目)で構成されています。

何が支給されていて、何が引かれているのか、しっかり確認しましょう。

○給与明細

給与明細

給与明細はここをチェック!

「毎月のチェックは手取り金額だけ確認して終わり」という人も多いかもしれませんが、給与計算は複雑なため誤りが生じる可能性もゼロではありません。

気づかぬ間に損をしないように給与明細は「勤怠」「控除」「支給」の欄をそれぞれ意味を理解した上で、確認しておきましょう。

細かな説明は上記の図解を参照していただくとして、給与明細を構成する3つの柱を説明すると、「勤怠」がどれぐらい働いたか、「控除」は給料から差し引かれるお金、「支給」がもらえるお金が記載されています。

チェック項目は以下の4点です。

  • 基本給や手当は正しく支給されているか
  • 残業代が正しく支払われているか
  • 所得税や住民税が引かれているか
  • 出勤日数が正しいか

ざっくりでも構わないので確認しておきましょう。

4~6月の残業が少ないと社会保険料が安くなる

健康保険、介護保険、厚生年金保険の金額は毎年見直されます。

このとき、計算のもとになるのが4・5・6月の給料の平均額です。

この時期の残業を控えると保険料が下がります。

ただし、老後にもらう厚生年金は、現役時代の給与が高い(厚生年金保険料も高い)ほうが多くなります。

残業代は「時給×時間」に割増率をかけて計算する

会社と契約した労働時間(所定労働時間)を超えて仕事をすると、残業手当がつきます。

さらに法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた分は割増賃金(25%以上)になります。

休日出勤や深夜労働にも割増賃金が発生します。

これらは全て、労働基準法で義務付けられています。

裁量労働制の場合も、勤務時間帯などによっては割増賃金となります。

それらがきちんと支給されているか、給与明細をチェックしましょう。

規則通りに支払われない、金額が低いなどの際は人事課、または勤務先の住所を所管する労働基準監督署(厚生労働省の機関)に相談しましょう。

1.残業代の計算方法

働き方改革の一環で残業時間を減らそうと言う取り組みが盛んになっています。

一方で、どうしても長時間働くことになった場合は、残業代が妥当かどうか、自分で計算できるようにしておきましょう。

残業代の計算は、「1時間あたりの賃金」が基準となります。

この時給の計算は月給から住宅手当など法律で定められた諸手当を引き、その金額を「1ヵ月の所定労働時間× 1日の所定労働時間」で割って算出します。

その後、法定休日や深夜など、いつ残業するかによって分類される割増率を掛けて、残業代は計算されます。

割増率はおよそ0.25~0.35となることが多く、大きくかけ離れている場合は給与担当者に問い合わせてみましょう。

2.残業代の計算例

想定条件

基本給

250,000円

諸手当

10,000円

所定労働日数

20日(1ヵ月)

所定労働時間

8時間(1日)

(1)自分の時給を把握する

【月給】250,000円 - 【諸手当(※1)】10,000円 = 240,000円 ・・・(A)

【1ヵ月の所定労働日数(※2)】20日 × 【1日の所定労働時間】8時間 

=160時間 ・・・(B)

【1時間当たりの賃金】(A)/(B) = 1,500円

※1:法律で決められた残業代から除かれる手当(例:家族手当、通勤手当、住宅手当、単身赴任手当など)

※2:年平均の労働日数を使用する場合もあり

(2)割増率を掛ける

【1時間当たりの賃金】1,500円×【残業時間】20時間×【割増率】1.25=【残業代】37,500円

割増率
 

最低割増率

対象となる時間帯

時間外労働

0.25

1日8時間、週40時間を超える労働

深夜労働

0.25

22時~朝5時までの労働

時間外かつ深夜労働

0.5

1日8時間、週40時間を超え、かつ22時~朝5時の労働

休日労働

0.25

会社で定めた休日(週40時間を超える場合)

休日深夜労働

0.25

会社で定めた休日における深夜労働時間

法定休日労働

0.35

法定休日(週1日または4週4日)の労働

法定休日かつ深夜

0.6

法定休日における深夜労働

会社が休みの日に出社したのに休日労働にならないこともある

少なくとも毎週1回、または4週に4回の休日が労働基準法で定められています。

ただし、通常は休みの土曜日に出勤しても、代わりに月曜日を休むなどの休日の変更が行われている場合や、1週間の労働時間が法定労働時間(40時間)を超えない場合は、割増賃金にはなりません。

賞与からも税金や社会保険料が引かれる

賞与は年に3回以内、社員の勤務成績や会社の業績に応じて支払われます。

民間企業には法的な支払い義務はありませんが、雇用契約書や就業規則で定めている会社多くあります。

1.一般的な賞与額の計算式

中小企業では経営者や部門の責任者が査定することが多いですが、社員数が多い場合は、数のように基本給をもとに計算するのが一般的です。

基本給 × 月数 × 評価係数 = 賞与

(1)基本給

各種手当を除いた基本賃金です。賞与では「基本給」に各種手当を含めることもあります

(就業規則などに定めたとおり)。

(2)月数

賞与の対象となる月数です。

会社全体の業績を反映して決められます。

(3)評価係数

個人の勤務成績で決まります。

会社によって異なります。

たとえば「S評価= 1.5倍、A評価= 1.2倍、B評価= 1.0倍、C評価= 0.8倍」などがあります。

2.賞与明細の見方

賞与も総支給額から控除合計を引いた金額が手取りとなる点は給与と同じです。

○賞与明細

賞与明細

(1)賞与にも社会保険料がかかる

健康保険 = 標準賞与額(※1) × 4.935%(9.87%を労使折半)(※2)

介護保険 = 標準賞与額 × 0.895%【40歳以上】(1.79%を労使折半)(※2)

厚生年金 = 標準賞与額 × 9.15%(18.30%を労使折半)(※2)

雇用保険 = 標準賞与額 × 0.3%

※保険料率は令和2年12月時点のもの

保険料率は健康保険組合、または各都道府県の協会けんぽで毎年見直されている。

※1:標準賞与額は賞与額から1,000円未満を切り捨てたもの。

※2:協会けんぽ(東京都)の場合。

3.ボーナス払いに注意

賞与(ボーナス)はあくまでも業績に応じて支払われるもので、企業に義務付けられたものではありません。

クレジットカードや住宅ローンにボーナス払いを組み入れると、賞与の支給がないときに慌てる事になりますので注意しましょう。

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